とろ

なんとかならないか考え考え日が暮れる

2019良かった本5冊

海外生活、余裕なくて本をあまり読まなくなるのでは・・・と思ったけど、数えて見ると20冊ほど読んでいた
50冊ほど読んだ昨年と違うのは、ビジネス書とか頭使うやつをほとんど読まなかったこと。
昨年たくさん本を読んだおかげで、「気分に合わせて読む本のジャンルを選ぶ」ができるようになった気がする(気がする)
 
 
ということで読んで良かった本を5冊紹介していきます
 
 
●小説・エッセイ系
 
IQ2 ジョー イデ
IQ2 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

IQ2 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

シリーズもの推理小説の2作目。

日系アメリカ人である著者がアメリカの黒人社会を描いたサスペンス
 
この作品、馴染みない社会を描いた面白さも前作踏襲であるのだけど、今作は終わり方が本当に良かった。
終わり方に感動しすぎて読んだ後に放心状態になってしまった小説ってそうないよ
 
・・・と書くと「どんでん返しがあるのかな?」と思われるかもしれないんだけどそういう派手な意味ではない。
なんというか、「人生」に対しての作者の考え方がじっくりと、キャラクターを通して描かれてきたものが最後に着地する気持ちよさがある。
 
読んでほしいのでネタバレ伏せます
 
「人生にどんでん返しなどない。じっくり地に足を付けて現実と向き合いながら生きることが幸せにつながる」
 
という作者の主張がスッと入ってくるんだよね・・・
私自身常日頃そう思っているから馴染んだのかもしれないけど、小説の力ってすごいなぁと初めて感じた 読んでほしいです
 
 
寂しくもないし、孤独でもないけれど、じゃあこの心のモヤモヤは何だというのか
チェコ好きさんの文章は本当に上手い、うまいというかスッと心に馴染んでくる
内容は読書紹介・・・ではあるんだけど、本を読んで感じたことを自分の話や世間の悩みに絡めて語っていて、筆者の考え方が伝わってきてとてもいい
 
特に良いなぁ、と思ったのは「人生にイベントが起こらない」という話
 
人はなぜ結婚しないと焦るのか。
イベントがないと次のステージに進んだ感がないからでは?
ということで私(著者)はとりあえず「次は小説を書く」を目標にしてみている。
(かなり簡単にまとめてしまったので間違えてたら申し訳ない)
 
みたいなことがさらっと書かれてはいるんだけど、長年モヤモヤ~~~なんでだろう~~このままでいいのかな~~と取り巻いていた気持ちに向き合い続けてこの結論を今、出してるんだろうなぁという印象があって良かった
 
タイトル通り、「じゃあこの心のモヤモヤは何だというのか」
に向き合った本
 
この方の文章が気持ちいい理由は、
「この点について、今の私のはこういう結論にはあるけど、違う意見の人もいると思うし、未来の私も別の考え方をしているかもしれない」
というのが基軸にあるからだと思う
 
しっかりとした考え方を持って考え方を進めつつ、他者の人生や考え方を否定したりはしないので優しくて安心して読める
 
 
 
 
●勉強になった本
 
82年生まれキムジヨン
チョ・ナムジュ 
82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

 

 

韓国で大ベストセラーとなったフェミニズム(?)本(というより社会構造の問題を明確に描いた本)
 
非常に面白かった。82年に生まれたキムジヨンという女性が主人公。
 
生まれた時から弟が過剰に優遇されたり、高校では女子にだけ厳しい制服規定があったり、ストーカーで怖い思いをしたのに自分のせいにされたり、いい大学に行けないと女性は就職で門前払いだったり、頑張っても頑張っても報われない社会がキムジヨンという架空の女性の人生を通して描かれているんだけど、リアルすぎて最後まで小説だと気づけなかった(ノンフィクションかと思って読んでた)
 
アナウンサー系を志望していた姉に、母親が「教師になった方が・・・」言ったあとすぐに「自分が一番されたくなかったことを子供にしてしまった」と気付いて「やっぱり行きたい道に行って」とお願いするんだけど、姉は「いや、よく考えるとアナウンサーは憧れてただけで、教師の方が向いてると思う」と言って頑なに結論を変えず、母は自分の言ったことの後悔で泣く・・・というシーンがあり、読みながらボロボロに泣いてしまった 誰も悪くないのに辛すぎる
 
 
これが韓国で大ベストセラーになって国会でも配る議員が現れたりするあたり、事実なんだろうなぁ(もちろん男性側から色々反論もあると思うが)
 
キムジヨンの周りには、彼女を理解しようとやさしく接してくれる賢い男性も登場する。けど育てられ方がそもそも差がありすぎて理解しきれていない・・・という描写が幾度かあり、その辺りの描写の仕方も丁寧だと思った。
男性が悪だ!と言いたいわけではなく、徹底して100年以上昔からの社会構造を問題視している。
例えば私が韓国人男性として生まれていたら、こういう構造に自覚的になれていただろうか・・・と考えさせられる本だった。
 
韓国人の友人(大学から日本に来て日本企業に就職)の話を聞いたりこの本を読むと、こういう状況だったら確かに日本にエスケープしたくなる・・・というのもわかる
(あまり詳しく現状を調べているわけではないので間違ってたらごめん あと決して韓国dis日本ageをしたいわけではないのでそういう印象の文章になってたらごめん)
 
 
フェミニズムについて私のスタンス
 
私は幸い女であることで損した、と思ったことは一度もないんだけど(そもそも労働意欲が低いので)それはそれとして不当な扱いを受けている人たちの声は支援したい、というか
こういう不均衡に気付かずこれでいいじゃん!と思ってる男性主軸社会のことが単純に頭悪くて嫌い(嫌い)だからフェミニズムの運動自体は応援しています
ツイッターで議論してる層はあまり好きじゃない ツイッターで議論することが好きじゃないので(ツイッターを愛しすぎている)
 
 
似たような軸でもう一冊・・・
 
フランスはどう少子化を克服したか
高崎順子
フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)

フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)

  • 作者:髙崎 順子
  • 発売日: 2016/10/14
  • メディア: 新書
 

 

少子化対策で唯一といっていいほど短期で成果を上げたフランスの施策が単純にず~~~っと気になっていたので読んだ
著者が頭いいので妥協一切なしに事実が調べ上げられ書かれていてかなり納得だった 高崎順子あたまがいい
 
 
読んだ感想としては、「フランス、だいぶ力業だな」です
 
出生率を上げる>>>>>その他
 
の優先順位で突っ走って色々やったからこその数字・・・と感じた
 
「日本もこれくらいやってほしいと思うけど無理だな~と言わず、学べる部分はあるはずなので学んでいきましょう」
と締めくくってあるのもたかさきじゅんこ頭いいなぁ・・・となった
 
 
 
イスラム教理解
 

 コーランを知っていますか

阿刀田 高

コーランを知っていますか (新潮文庫)

コーランを知っていますか (新潮文庫)

  • 作者:阿刀田 高
  • 発売日: 2005/12/22
  • メディア: 文庫
 

 この本おすすめ!!!読みやすい!!!

ちょっとイスラム教に触れたことがある人が疑問に思う部分が楽しく説明されている
 
コーランの内容というよりルーツを説明したり、特徴的な章を取り上げたりしている本なんだけど、なにより作者の紹介の仕方が親身がすぎる
 
コーランって父親のお説教みたい」と表現したりしており、
これ、怒られないか?て何度か思った
 
イスラム教のハラル(許されていること)や禁忌についても、イスラム教設立時の時代背景とともに説明されていて、「一夫多妻」や「豚肉禁止」等の特徴的なルールが、コミュニティ維持のために作られていったものなんだなということが容易く理解できた。
 
 
日本は宗教の授業あまりやらないけど、インドネシアでは必修であって、(イスラム・キリスト・ヒンドゥーから選択制だったかな、記憶が曖昧)日本も今後これくらい基礎情報までなら義務教育でやってもいいのに~と思った
 
いやもしかしたら世界史でやってたかもしれない・・・・記憶ないだけで
 
 
 
イスラームから考える

師岡カリーマ 

イスラームから考える

イスラームから考える

 
この本も非常~~~~~によかった 
イスラム教について、自分の中の偏見だったり思い違いに気づかされる本
めちゃくちゃおススメ
 
日本で暮らす、父がエジプト人イスラム教徒女性が論じた本で、議題はヒジャブについて、日本のメディアの偏見報道について、等色々あるんだけど特に面白いと感じたのは
 
表現の自由」は認められるべきか?という話
 
2005年デンマークで起きた、「ムハンマド風刺画漫画事件」
ムハンマド風刺漫画掲載問題ムハンマドふうしまんがけいさいもんだい)とは、2005年9月にデンマークの日刊紙に掲載されたムハンマド風刺漫画を巡り、イスラム諸国の政府および国民の間で非難の声が上がり外交問題に発展した事件をさす。イスラム教を風刺する内容であった。同様な問題が、2007年8月18日スウェーデンでも発生した。こちらの問題はすでに沈静化しているが、一部のスウェーデン地方紙に激しい抗議が行われた。(wikipedia
 
について、「法で禁じられるべきではないが、このような個人の大事にしているものを無理解によって踏みにじるような行いは厳しく反論されるべきだし、行う方もその覚悟を持つべきだ」
とピッシャリ言っていて気持ちよかった
 
私も「表現の自由」については、「何言っても自由」ではないだろう、と常日頃思っているので・・・
もちろん法的に規制するかどうかは別問題として、他人への配慮が感じられなかったりする作品は厳しい批判を浴びてしかるべきだと思うしそこらへんに責任持てへんやつが表現すんなって思います。イスラム教にかかわらず全般的に。
 
 
 
かなり読んだけどあまりインドネシアに興味ある人もいないと思うので
さらっと紹介
 
 
バリ 観光人類学のレッスン

山下 晋司 

バリ 観光人類学のレッスン

バリ 観光人類学のレッスン

  • 作者:山下 晋司
  • 発売日: 1999/01/01
  • メディア: 単行本
 

これは面白かった!「観光産業は文化破壊に繋がらないか?」という疑問を抱えていたのでそれが解消された。

 

バリは、かなり戦略的に文化を観光化してる
「ケチャダンス」も、元々は滅多に行わない交霊の儀式だったのだけど、観光資源化した現在はコンペティションを定期的に開催してレベルの安定化を図るなど、組織的・計画的に運用している様子がわかって面白かった
 
一方で、観光がまったくの「煙なき産業」かというとそうでもなくて、特に印象強かったのがハワイの考え方。
 「私たちは観光を望まない。私たちはあなた方を望まないのだ。わたしたちはサーバントやダンサーとして堕落したいとは思わない。それは文化的な売春だ。私はハワイではあなたがたの誰にも会いたくない。罪のない観光客などいやしない」

 

「文化的な売春」てすげーな・・・私がバリ人だったら「喧嘩売っとんかワレ」てなるわ
 
ハワイとバリの違いは収入もあるよね バリはいうてまだ途上国なので
20年以上前の本なんだけど、非常に面白かった バリに行ったことがある人にオススメ
 
●番外編 海好きにオススメ
 
無人島に生きる十六人
須川邦彦
タイトル通りの本ではあるんだけど、南国の珊瑚礁の文章描写が本当に神がかっていて、とりあえず読んでほしいこの文章
 
たとえば、夜明けに、いく千のあさがおが、かさなって咲いているようである。陸上の、どんな美しい花園でも、とてもかなわない。大きなイソギンチャクは、美しいきくの大輪が咲いたのとおなじだ。ウミイチゴは、真っ赤な大きないちごそっくりで、まったく、おとぎ話の竜宮城の、乙姫様の花園といったらいいだろうか。
そして、この美しい、珊瑚石、きくめ石、なまこ石、シャボテン石、海まつ、海タケ、海綿、ウミシダ、ウミエラなど、極彩色の絵模様の間を、出たり入ったりして、ゆらりゆらりとおよぎまわっている、いっそう美しい彩の魚群がいる。
これらの魚の色の美しさ、形の珍しさは、珊瑚や海藻いじょうである。陸上で一番美しい動物は、蝶と鳥だと言われているが、この珊瑚礁に住む魚のチョウチョウウオスズメダイ・ベラなどの美しさは、私には説明ができない。サンゴや海藻よりも、いっそう強い色を持っていて、赤、桃色、紅、黄、橙、褐色、青、緑、紺、藍、空色、黒など、まるで、塗りたてのペンキのように光っている。また、その色の取り混ぜがおもしろい。
 

こんな海の中の美しさを文章で表現できることある!?

 

Kindleで無料で読めるし割と短いので海の気分になりたい人にオススメ

 

 
 
 
 
東ティモール 奪われた独立・自由への戦い
 
東ティモール独立運動の終盤期(独立は2002年、この本は1999年)に日本人によって書かれた本。
タイトル通り切迫感があった
 
インドネシア東ティモール弾圧の状況がメディアによって暴かれ、国際社会から批判を浴び続ける中でも、一番仲がいい日本とアメリカがインドネシア側に立っていたので、インドネシア政府が全く動かなかったことなど・・・
 
包括的な本もいいけど、まさに問題渦中に書かれた本を読むのもいいなぁと思った
 
 
 
●その他良かった本
 
小説
 
・春にして君を離れ
 
 
去年バズっていたこの記事がきっかけで知った本。面白かったけど結構キます
 
 
 
不朽の名作ですね・・・・・蟹食べたい(そういう本じゃない)
 
 
すごく自カプだった。(そういう本じゃない)
名作だし読んでおこう、という本で不意打ち自カプがくるとびっくりしてしまう
 
流れる星は生きている (中公文庫)

流れる星は生きている (中公文庫)

  • 作者:藤原 てい
  • 発売日: 2002/07/25
  • メディア: 文庫
 

 

この本も5冊の中に入れたいくらいオススメ
終戦後、中国から北朝鮮を通って日本まで子供三人を抱えながら自力で戻ってきた母親の壮絶なノンフィクション。本当にすごい世界だ・・・
 
この本を読んでいる時、私もコロナ騒ぎで「今すぐインドネシアを脱出する!」というタイミングだったのでタイムリーだった
 
 
・雑草で酔う 

 面白いなぁ いろんな人がいるなぁ・・・・・・

 

 
 
以上!!
 
 
昨年本の記事を書いたら、本をオススメしてくれた人がいるんですけど
2019年読んだ漫画の記事の方で紹介しようと思います!
 
本のオススメありがたいです、オススメされた本ってそれだけで価値があるよね
「なんでオススメしてくれたんだろう?」
「何が彼/彼女に響いたんだろう?」
て考えるのも楽しいし
 
 
前も書いたかもしれないけど、私は最近になってやたら本を読むようになったけど
大学時代は全く読まなかったし
人間いろんな時期があるんだなぁ、と思います